英語表現

エヌダッシュの用法│ ハイフンとどう異なるのか

ハイフンとダッシュの違いがわからない人が多いようです。ハイフンについては以下の記事をお読みください。

ダッシュにはエヌダッシュ(en dash)(以下、enダッシュと呼ぶことにします)とエムダッシュ(em dash)の2種類があります。短いのがenダッシュ、長いのがemダッシュです。

emダッシュについては以下の記事をお読みください。

原則、enダッシュの前後にスペースは置きません。

例: 2002–2019

ただしスペースがないと誤読が生じる可能性がある時はスペースを置いてもかまいません。例えば、「4月10日から6月1日まで」という意味で10 April–1 Juneと書くと、真ん中の箇所が「4月1日」に見えるので10 April – 1 Juneとした方がわかりやすくなります。

enダッシュには大まかに言って、以下の3つの用法があります。

複合語にハイフンではなくenダッシュを使うことがある

ハイフンの用法」で複合語を作る時に単語と単語の間にハイフンを置くことを説明しましたが、ハイフンではなくenダッシュを使う場合があります。

2つの単語が対等の関係にある時はハイフンとenダッシュのどちらでもよい


post-Napoleonic Europe
のハイフンをenダッシュにしてはいけませんが、love-hate relationshipの場合は、ハイフンをenダッシュに変えてlove–hate relationshipとしてかまいません。post-NapoleonicにおいてはpostがNapoleonicを一方的に修飾しているのに対し、loveとhateは一方が片方を修飾せずに対等の関係にあります。2つの単語が対等関係にある場合はハイフンで繋げても、enダッシュで繋げてもどちらでもかまいません。どちらにすべきかはスタイルガイドによって異なります。以下、enダッシュを使った例です。

US–Japanese relations
The Taft–Hartley Act
Bose–Einstein statistics
blood–brain barrier
Cheyne–Stokes respiration

両方もしくは片方が複合語の時はハイフンではなくenダッシュで繋ぐ

2つ以上の単語を繋いで複合語を作る時、いずれかが複合語の場合は、その複合語にダッシュが使われていようがいまいがenダッシュで単語を繋ぐ。

これは誤解を防ぐためです。例えば、hospital (病院)とnursing home (老人ホーム)を関係づける際にハイフンをつけてthe hospital-nursing home connectionとすると hospitalとnursing(看護)をhome connection(自宅で関係づけること)と誤読される可能性が出てきます。それを避けるためにenダッシュをつけてthe hospital–nursing home connectionと表記する必要がでます。

以下はThe Punctuation Guideに載っていた例です。このように複合語をさらに複合するときにenダッシュが使われます。

Hyphen: She is an award-winning novelist.
En dash: She is a National Book Award–winning novelist.
※National Book Awardが複合語なのでenダッシュが使われている。

Hyphen: It was just one of many changes in this post-Clinton era.
En dash: It was just one of many changes in this post–New Deal era.
※New Dealが複合語なのでenダッシュが使われている。

Hyphen: They were a bunch of college-educated snobs.
En dash: They were a bunch of prep school–educated snobs.
※prep schoolが複合語なのでenダッシュが使われている。

Hyphen: He submitted his manuscript to a print-only publisher.
En dash: He submitted his manuscript to an e-book–only publisher.
※e-bookが複合語なのでenダッシュが使われている。

複合語はハイフンが使われていなくても使われていてもかまいません。

ハイフンなしの複合語(open compound)の場合
Pre–Word War II
The ex–prime minister
Post–Civil War period
Pulitzer Prize–winning novel
The non–San Francisco part of the world
A long–focal length camera
A Nobel Prize–winning economist

ハイフン付きの複合語(hyphenated compound)の場合
The public-healthcare–private-healthcare debate
Quasi-public–quasi-judicial body
The pro-conscription–anti-conscription debate
Mother-of-the-bride–approved dresses
Public-school–private-school rivalries

数値の範囲を表わす

enダッシュは数値(numerical values)の範囲を表わします。例えば、pages 40 to 74pages 4074に書き換えることができます。多くの人はこの用法でenダッシュの代わりにハイフンを使うので、ハイフンを使ってpages 4074としても特に問題とされませんが、本来はenダッシュを使うべきです。この意味でハイフンを使うと誤解が生じることがあります。enダッシュをつけてthe May–September issueとすると「5月号、6月号、7月号、8月号、9月号」を含む「5月号から9月号」という意味になりますが、ハイフンをつけてthe May-September issueとすると「5月号と9月号の合併号」という意味になります。

数値の範囲を表わすenダッシュは期間、年齢、ページ数に加えて、様々な局面で使われます。

期間

2:00–4:00 a.m.
3–5 days
Monday–Friday
April 12–May 5
the years 2008–2014
20–40 years
The professor holds office hours every Tuesday, 11:00 a.m.–1:00 p.m.
They added the course during the 2015–2016 school year.

年齢

The job is suitable for people who already have some experience in marketing and the ideal candidate will be aged 30–40.

ページ数

pp. 23–35
And in fact en dashes specify any kind of range, which is why they properly appear in indexes when a range of pages is cited (e.g., 147–48).

その他

100–200kms
4kHz–8kHz
12–25℃
There were 500–600 people at the event.
On a bad day, I can eat 2–3 burritos.
You will find this material in chapters 8–12.

注意事項

●enダッシュをtoやthroughの代わりと見なし、The amusement park is open from Monday to Friday. をThe amusement park is open from Monday–Friday. としてしまいそうですが、正しくはThe amusement park is open Monday–Friday. となります。

●マイナス記号が使われている時にenダッシュを使うとわかりにくくなるので、その場合はアルファベットを使います。例えば「マイナス15度からマイナス11度」は−15°C–−11°C ではなく−15°C to −11°C と記入しましょう。

●時間の経過を表わす表現で終わりがない時はenダッシュの後は空欄にします。John F. Kennedy (1917–1963)となりますが、現存中の場合はJimmy Carter (1924–) となります。

2つのものの関係を表す

2つのものの関係を表わす時にenダッシュを使います。この用法でハイフンがよく使われますが、enダッシュの方が望ましいです。例えば、「親子関係」はparent-child relationshipではなくparent–child relationshipとなります。この用法と複合語を作る時のハイフンの使用の違いに注意してください。複合語は2つ以上の単語が一緒になり1つの単語扱いになりますが、関係を示すenダッシュの場合、それぞれの単語は元の意味を保っています。例えばMedical Research Life Hackに出ている例ですが、「患者と医師の会」という意味のpatient–doctor meetingのenダッシュをハイフンに変えてpatient-doctor meetingとすると「患者である医師の会」という意味に変わってしまいます(ただし、実際にはここでハイフンを使っていても文脈から読者は「患者と医師の会」という意味と推測することが多いでしょう)。

関係には「対立」(conflict)、「繋がり」(connection)、「分離」(separation)、「方向」(direction)があります。

対立

The liberal–conservative debate
The Israeli–Palestinian conflict
The Labor–Greens discord
The conservative–liberal split
We watched the Steelers–Patriots game.

繋がり

The mother–daughter bond
Radical–Unionist coalition
Arizona–Nevada reciprocity
Sarbanes–Oxley Act

分離

The blood–brain barrier

方向

Boston–Hartford rout
The Toronto–Amsterdam flight is delayed.
The Austin–Dallas drive takes about three hours.
There is a north-south railway in the same area as the highway that runs east–west.

試合の得点や選挙の投票差

Japan beat Syria 7–0.
Pittsburgh Steelers won 48–3.
The Supreme Court voted 7–0 to uphold the decision.
They decided on the 114–98 vote.
China vs. South Korea: 3–1.