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to不定詞ではなく原形不定詞を使う11の用法

不定詞にはto不定詞と原形不定詞の2つがあります。原形不定詞は主語の人称や単数・複数によって変化せず、常に動詞の原形の形をとります。原形不定詞が出てくるのは以下の11の場面においてです。
①助動詞の後
②使役動詞+目的語の後
③知覚動詞+目的語の後
④仮定法現在の文
⑤疑問詞why
⑥had better
⑦would rather
⑧cannot but
⑨help+目的語の後
➉know+目的語の後
⑪第2文型でbe動詞の主部にdoが含まれるとき

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目次

原形不定詞とは何か?

不定詞には【to+動詞の原形】の形の「to不定詞」(full infinitiveもしくはto-infinitive)と、動詞の原形のみの「原形不定詞」(bare infinitiveもしくはzero infinitive)の2つがあります。受験英語で高校生が学ぶ不定詞はもっぱらto不定詞です。to不定詞は文中で名詞・形容詞・副詞の役割を果たします。to不定詞については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらの記事もお読みください。

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例文で覚えるto不定詞の名詞的・形容詞的・副詞的・同格用法 不定詞には原形不定詞とto不定詞があります。to不定詞は【to+動詞の原形】の形をとります。to不定詞は文中で名詞・形容詞・副詞のいずれかの役割を果たし、それぞれ、名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法と呼ばれます。

この記事では原形不定詞のみを取り扱います。toのつかない不定詞を「原形不定詞」と言います。原形不定詞は主語の人称や単数・複数によって変化せず、常に動詞の原形の形をとります。例えば、助動詞の後に来る動詞が原形不定詞です。I can swim in the river. (私は川で泳ぐことができる)は、主語がheであろうと(He can swim in the river.)、助動詞が過去形になろうと(I could swim in the river.)、助動詞の後に来る動詞は原形の形をとります。原形不定詞は動詞の原形の形をしていますが、原形不定詞以外にも動詞の原形の形をとることがあるので「動詞の原形=原形不定詞」ではありません。例えば以下の文章。

I masturbate every morning. 
私は毎朝オナニーをします。
I let my son masturbate every morning. 
私は息子が毎朝オナニーをするのを見て見ぬ振りをした。

どちらのmasturbateも動詞の原形ですが後者のみが原形不定詞です。最初のは主語が3人称だったり、時制が過去になると動詞が原形ではなくなるので、原形不定詞ではありません。このような主語の人称や時制により形が変わる動詞を「定動詞」(finite verb)と言います。

He masturbates every morning. ←主語が3人称単数なので動詞に-sがついている
彼は毎朝オナニーをする。
She let her son masturbate every morning. ←主語がどう変わろうがmasturbateの形は変わらない
彼女は息子が毎朝オナニーをするのを見て見ぬ振りをした。

ほとんどの高校生は英語の授業で原形不定詞について体系的に学びません。不定詞は習いますが、英文法の授業で学ぶ不定詞はもっぱらto不定詞であって、原形不定詞についてはそれ自体を取り扱う授業はなく、原形不定詞が出る度に「ここは必ず動詞の原形になる」という説明を受けるくらいです。でもこの記事を読んでいるよい子の皆さんは原形不定詞について一度体系的に学びましょう。原形不定詞は以下の11場面で使われます。

①助動詞の後
②使役動詞+目的語の後
③知覚動詞+目的語の後
④仮定法現在の文
⑤疑問詞why
⑥had better
⑦would rather
⑧cannot but
⑨help+目的語の後
➉know+目的語の後
⑪All you have to do isの後

では原形不定詞が出てくる場面を1つずつ見てみます。

助動詞の後

助動詞の後に原形不定詞が続きます。「助動詞の後は動詞の原形」と学校で習ったでしょうが、この動詞の原形は原形不定詞なわけです。

I can’t speak Spanish.
I couldn’t speak English.
He may be gay.
He might be a heterosexual.
Shall I talk to her?
They should give her some money.
We will go to Tokyo next week.
Would you like a cup of tea?
I must be a genius.

助動詞に続く動詞は原形不定詞なので、この動詞に-sがついたり、過去形・過去分詞形になったりすることは絶対ありません。ただし、すべての助動詞の後に原形不定詞が続くわけではありません。助動詞のoughtとusedはto不定詞が続きます。ought toused toという固まりで習ったと思いますが、このtoは【to+原形不定詞】のtoです。つまり、正確にはoughtとusedが助動詞であり、その後にto不定詞が続いています。

You ought to study much harder.
もっと勉強したほうがいいよ。

I used to have sex three times a day, but now I only do it about twice a year.
昔は1日に3回セックスをしたものだが、今は年に2度くらいしかしない。

また動詞を強調する時に用いるdoも助動詞なので、その後に原形不定詞が続きます。

You do look stupid!
あんたって本当にバカっぽいね!

使役動詞のlet, make, have

「人を動かしてある行為に向かわせる」ことを意味する動詞を使役動詞といいます。「強制的にAに~をさせる」という意味のforce, compel, obligeや、「Aが~することを許す」という意味のallowpermitや、「説得をしてAに~させる」という意味のget「動詞+A+to do」の形をとります。目的語をとるのでいずれも他動詞です。

I forced Suzu-chan to go out with me.
すずちゃんを無理やりデートに誘った。
I allowed Suzu-chan to have another boyfriend.
すずちゃんに別の彼氏を作ることを許した。
I got Suzu-chan to watch TV together.
すずちゃんに一緒にテレビを見てもらった。

私たちが英文法の授業で習う使役動詞は、この「動詞+目的語+to do」型ではなく 、「動詞+目的語+原形不定詞」の形をとります。let, make, haveがこの形をとる使役動詞です。いずれも「Aに~させる」と訳せますが、letは許可、makeは強制、haveは指示・依頼を意味し、使役のニュアンスはかなり異なります。

My father let me do ballet when I was a kid.
子供の頃、父はバレエをやらせてくれた。
My father made me do ballet when I was a kid.
子供の頃、父にバレエをやらされた。
My father had me do ballet when I was a kid.
子供の頃、父にバレエをやらされていました。

この3つの例文の意味の違いは下の記事で詳しく解説しています。違いがよくわからない人は下の記事もお読みください。

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【完全版】使役動詞let/make/have/getの使い分け 「人を動かしてある行為に向かわせる」ことを意味する動詞を使役動詞といいます。代表的な使役動詞はlet, make, have, getの4つです。letは元々したいことをするのを許すの、makeはしたくないことを無理にさせる、haveはしてもらうのが当たり前のことをしてもらう、getは説得してしてもらう、ことを意味します。

知覚動詞

see (見る), hear (聞く), feel (感じる)などの知覚動詞「動詞+目的語+原形不定詞」 の形で、「Aが~するのを見る/聞く/感じる」を意味します。

I saw Suzu-chan walk across the road.
すずちゃんが道を渡っているのが見えた。
I heard Suzu-chan sing a song.
すずちゃんの歌が聞こえてきた。
I felt Suzu-chan touched my butt.
すずちゃんにお尻を触られたような気がした。

目的語の後に原形不定詞をとる知覚動詞は、see, hear, feel以外にも、watch, look at, observe, notice, listen toがあります。find, smell, perceive, spot, detect, catchのように目的語の後に原形不定詞をとらない知覚動詞もあるので注意が必要です。目的語の後に原形不定詞をとる知覚動詞と原形不定詞を知らない知覚動詞については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらの記事もお読みください。

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14の知覚動詞の4つのパターン 見たり、聞いたり、感じたりすることを表す動詞を知覚動詞といいます。英語の知覚動詞にはsee, hear, feel, watch, look at, listen to, smellなどがありますが、知覚動詞には目的語の後に原形不定詞・現在分詞・過去分詞が置くことが可能かどうかで4つに分類されます。

仮定法現在

要求・提案・命令を表す動詞や、【It is+要求・願望を伝える形容詞+that~】の形で、イギリス英語では目的語となるthat節中でshouldが用いられます。

It was suggested that this report should be supported with video material.
この報告書には、映像資料を添付することが提案されました。

It is necessary that parents should be obliged to protect their offspring by vaccination.
親は予防接種によって子供を守る義務を負う必要がある。

アメリカ英語ではここでshouldの代わりに仮定法現在がよく用いられます。仮定法現在が何かほとんどの人がわからないと思いますが、この構文でshouldの代わりに原形不定詞が用いる用法のことを指します。

仮定法現在だとこうなる
It was suggested that this report be supported with video material.

It is necessary that parents be obliged to protect their offspring by vaccination.

reportとparentsの後が動詞の原形になっていることに注意してください。

このように要求・提案・命令を表す動詞に続くthat節内の動詞で原形不定詞が用いられます。この用法がよくわからない人はとりあえず、イギリス式にshouldを用いればよいです。『実践ロイヤル英文法』には以下の動詞でthat節中にshouldもしくは仮定法現在が用いられると説明されています(p.98)。

that節中にshouldまたは仮定法現在を用いる動詞
advise 忠告する
agree 同意する
arrange 取り決める
ask 頼む
command 命令する
decide 決定する
demand 要求する
desire 頼む
determine 決定する
insist 強く要求する
move 動議を出す
order 命令する
propose 提案する
recommend 勧める
request 頼む
require 要求する
suggest 提案する
urge 強く迫る

例文を2つほど見てみます。

They demanded that the school be allowed to function smoothly for the sake of students.
彼らは生徒のために学校が円滑に機能するよう要求した。

The company requires that each of its employees attend one of several training sessions.
この会社は、従業員一人一人がいくつかの研修のうちの一つを受講することを義務づけている。

【It is+形容詞+that~】の形で形容詞がnecessary (必要な)やdesirable (望ましい)などの要求・願望を意味する時もthat節内の動詞が原形不定詞になります。この用法がよくわからない人はイギリス式にshouldを加えましょう。 『実践ロイヤル英文法』には以下の形容詞でthat節中にshouldもしくは仮定法現在が用いられると説明されています(p.441)。

that節中にshouldまたは仮定法現在を用いる形容詞
advisable 望ましい
crucial 極めて重要な
desirable 望ましい
essential 絶対必要な
imperative 絶対必要な
important 重要な
necessary 必要な
urgent すぐ必要な

2つ例文を見てみます。

It is necessary that the work be done in time.
その仕事は時間内に終わる必要がある。

It was urgent that she confirm she did not have the disease.
彼女は自分が病気ではないことを確認することが急務だった。

この仮定法現在の用法は大学受験生が特によく理解できていない英文法項目です。

Why+原形不定詞…?

疑問詞のwhyを使って反語的に述べるとき、助動詞と主語が省略されて、よくwhyの後に原形不定詞が続きます。

Why should I study English when I already speak it fluently.
Why study English when I already speak it fluently.
すでに英語を流暢に話すことができるのに、なぜ英語を勉強しなければならないのか?

Why would we watch TV when we could play outside?
Why watch TV when we could play outside?
外で遊べるのに、どうしてテレビを見るんですか?

Why wait until tomorrow?
なぜ明日まで待つのか?

Why walk when we can use the car?
車が使えるのに、どうして歩くんですか?

「なぜ~しないのか?」と否定形で反語を述べる場合は【Why not+原形不定詞】の形になります。否定形の反語なので「~してはどうだ」という提案の意味になります。

Why not buy a new bicycle?
新しい自転車を買ったらどうですか?

Why not ask her out now?
なぜ今、彼女をデートに誘わないの?

had better

「~した方が良い/~すべきだ」という意味のhad betterの後に原形不定詞が続きます。

We had better reserve a room in the hotel by next week.
来週までにホテルの部屋を予約したほうがいい。

youを主語にすると命令的な感じになるので、「~した方がいいんじゃないの?」と軽い感じで言う時にYou had better…は使わないでください。

You had better go to the nuthouse.
あなたは精神病院に行ったほうがいいですよ。

You had better give me your address and phone number.
(強制的なニュアンス)住所と電話番号を教えてください。

否定形は【had better not+原形不定詞】となります。

You had better not smile at Takashi Kawamura, Mayor of Nagoya.
河村たかし名古屋市長には笑顔を見せない方がいいよ。

would rather

【would rather+原形不定詞】「むしろ~したい」を意味します。【than+原形不定詞】(~するより)が続くこともよくあります。

I would rather start my own business.
私はむしろ自分で事業を起こしたい。

I would rather start my own business than work for Dentsu Inc.
私は電通で働くよりもむしろ自分で事業を起こしたい。

I’d rather die than marry Kon Arimura.
有村昆と結婚するくらいなら死んだ方がましだ。

否定形は【would rather not+原形不定詞】になります。

I’d rather not express my opinion about Takashi Kawamura’s eccentric behavior.
河村たかしの奇行に関して自分の意見を述べるのは差し控えたい。

【would rather A than B】は【would sooner A than B】と言い換えることができます。この構文でも原形不定詞が用いられます。後者の方が硬い感じあまり使われないので、スピーキングやライティングでは前者を使えるようになれば十分です。

would sooner give up sleep than miss my evening class.
夜の授業を休むくらいなら寝ないほうがましだ。

He would sooner lose everything than admit that he was wrong.
彼は、自分が間違っていることを認めるくらいなら、すべてを失ってもいいと思っている。

cannot but

「~せざるを得ない」という意味で【cannot but+原形不定詞】もしくは【cannot help but+原形不定詞】という構文が使われます。原形不定詞を用いずに【cannot help+~ing】と言うこともできます。【cannot but+原形不定詞】が一番硬い感じで、会話で最もよく使われるのは【cannot help+~ing】です。

I cannot but agree with your general position that Japan and South Korea need each other.
日本と韓国がお互いに必要であるというあなたの一般的な立場には、同意せざるを得ません。

I cannot help but admire Suzu’s beauty.
=I cannot help admiring Suzu’s beauty.
すずちゃんの美しさに見とれてしまいます。

過去形ではcannotがcould notになります。

I couldn’t help but think about the past.
=I couldn’t help thinking about the past.
私はどうしても過去のことを考えざるをえなかった。

to不定詞と原形不定詞のどちらでもよい場合

help+目的語

「Aが~するのを手伝う」という意味の【help+A+to不定詞】はtoを外して【help+A+原形不定詞】としてもかまいません。もともとはto不定詞が続いていたのが、簡略化されてtoが省略されるようになりました。アメリカ英語ではtoなしが普通であり、フォーマルな場面ではto付きの方がいいという意見もありますが、実際には学術論文でもtoなしでかまいません。わたしはもっぱらtoなしで使っています。

My boyfriend helped me carry my bags to the car.
彼氏が車まで荷物を運ぶのを手伝ってくれた。

Some within the US government helped China cover up the origins of COVID.
米政府の中には、中国がCOVIDの起源を隠蔽することに協力した人もいた。

know+目的語

「Aが~するのを見聞きしたことがある」という意味の【know+目的語+to do】が過去形もしくは完了形で使われるときはtoを省略してもかまいません。ただしhelpとは異なり、knowの場合はtoをつけたままの文章をはるかによく見かけます。無理にtoを外す必要はありません。

〇 I have never known her be late before.
◎  I have never known her to be late before.
今まで彼女が遅刻したことはありません。

〇  Have you ever known him come on time?
◎ Have you ever known him to come on time?
彼が時間通りに来たことがありますか?

第2文型でbe動詞の主部にdoが含まれるとき

be動詞の後にto不定詞が置かれる文をよく見かけます。文法的にはこれはto不定詞の名詞的用法であり、to不定詞が第2文型の補語になっています。

All I want is to be left alone.
私は一人になりたいだけなのです。

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ここでbe動詞の主部にdoが含まれていると、be動詞の後のto不定詞を原形不定詞にしてもかまわないという文法ルールがあります。特にアメリカ人はよく会話でtoを省きます。

All you have to do is read a lot.
たくさん本を読めばいいんだよ。

【All you have to do is (to) do~】は直訳すると「あなたがすべきすべてのことは~することだ」となりますが、「~するだけでよい」という意味でこの表現を使えます。all that you have…の関係代名詞thatが省略されています。do is read…と動詞が3つ続くのは不自然に見えるかもしれませんが、これでオーケーです。むろんdo is to read…でもかまいません。またこの形では主語がyouになることが多いですが、主語をyou以外にしてもこの構文は使えます。

All you have to do is love me.
私を愛してくれればいいのよ。

Any girl can be glamorous. All she has to do is stand still and look stupid. ─Hedy Lamarr
どんな女の子でも魅惑的になれる。女の子はただじっと立って、ばかっぽくしてればいいのよ。─ヘディ・ラマー

【All you need to do is (to) do~】という表現もあります。こちらも「~するだけでよい」という意味になります。

All you need to do is begin living your life as if it were important. ─Michael E. Gerber
自分の人生は大切なものだと思って生き始めればいいのだ。─マイケル・E・ガーバー

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