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不定詞の意味上の主語は5パターンだけ

to不定詞の意味上の主語は文中で明示的に示される場合と示されない場合があります。①意味上の主語が一般の人々、②文の主語と意味上の主語が同じ、③文脈から意味上の主語が明らか、な場合は意味上の主語を示しません。しかし、 to不定詞の意味上の主語が文の主語とは異なり、また文脈から何か判断できない場合は、意味上の主語を文中の他動詞の目的語で示すか、【for+目的格】で表します。また、to不定詞が主語になる場合は、通常、形式主語のitを文頭に置きます。この【It is+形容詞+to do】構文の意味上の主語は 【for+目的格】と【to+目的格】の2パターンがあるので注意してください。

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目次

to不定詞の意味上の主語

(sentence)は主語述語動詞目的語補語修飾語で構成され、命令文会話文などの一部の例外を除き、文には必ず主語が含まれます。

I am the most beautiful woman in the world.
私は世界で最も美しい女性だ。
He beat me repeatedly.
彼は私を何度も殴った。

述語動詞の主語は文頭に出てくるので明確ですが、不定詞・分詞・動名詞などの準動詞は主語に相当するものが何かわかりにくいことがよくあります。文頭の主語と区別するために、準動詞の主語は「意味上の主語」と呼ばれますが、今回は、【to+動詞の原形】の形をとるto不定詞の意味上の主語について見てみます。to不定詞の意味上の主語は文中で明示的に示される場合と示されない場合があります。まずは、示されない場合から見てみます。to不定詞の用法がよくわからない方は最初にこちらの記事を読んでください。

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文中でto不定詞の意味上の主語を示さない場合

以下の3つの場合においてはto不定詞の意味上の主語を文中で示しません。

to不定詞の意味上の主語を示さない場合
①意味上の主語が一般の人々
②文の主語と意味上の主語が同じ
③文脈から意味上の主語が明らか

意味上の主語が一般の人々

意味上の主語が世間一般の人々の場合はいちいち示す必要はありません。

It is not easy to live to be over 100.
100歳以上生きるのは簡単なことではない。

意味上の主語はわれわれ人間なのは明らかなので、いちいちそれを示す必要はありません。
It is not easy for us to live to be over 100.

蛇足ですが、over AはAの数値を含まないので、正確には「over A」はAの数値を含む「A以上」を意味しません。だから正確にはover 100 years oldは「100歳以上」ではありません。その点については以下の記事で詳しく解説しています。

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It is not easy to get PhD degree in English literature.
英文学の博士号を取るのは簡単ではない。

これもto不定詞の意味上の主語は世間一般の人々を表しているので、意味上の主語が示されていません。

文の主語と意味上の主語が同じ

不定詞の意味上の主語が文の主語と同じ時は、意味上の主語を文中でいちいち示しません。

アニメ『日常』でのゆっこの「でも、とにかく勉強したくねえー!」というセリフが、英語版では
But… I still really don’t want to study!
と訳されていますが、ここでのto studyは述語動詞のwantの目的語の役割を果たしています。誰が勉強する事かというと、もちろん主語のIです。意味上の主語が何かあまりにも明白なので、このto不定詞の意味上の主語を明示して、
But… I still really don’t want for me to study!
と言うことはありません。このような文の主語と意味上の主語の一致は、名詞的・形容詞的・副詞的用法のいずれの場合でも生じます。

名詞的用法
Keiko wants to study mathematics in university.
圭子は大学で数学を勉強したいと思っている。

【主語+動詞+to不定詞】の形の名詞的用法で、to不定詞が目的語になる場合は文の主語と意味上の主語が一致します。ここでのto studyの意味上の主語はKeikoです。

形容詞的用法
Ted has nobody to talk with in the party.
テッドはパーティーで話す相手がいない。

Ted has nobody whom he can talk with. と言い換えることができます。つまり、to talkの意味上の主語はTedです。

副詞的用法
I studied hard to pass the final exam.
最終試験に合格するために一生懸命勉強した。

一生懸命勉強したのは私ですが、誰が最終試験に合格するかというとそれも私です。つまり、to passの意味上の主語は文の主語のIです。

文脈から意味上の主語が明らか

My dream is to get along with Suzu-chan.
私の夢は、すずちゃんと仲良くなることです。

文の主語がto不定詞の意味上の主語に見えるかもしれませんが、すずちゃんと仲良くなりたいと思っているのは「私の夢」ではなくて、「私」です。文脈から意味上の主語は「私」であることは容易に想像できます。だからここでto不定詞の意味上の主語を明示する必要ありません。
× My dream is for me to get along with Suzu-chan.

My dream is for my son to get along with Suzu-chan.
私の夢は、息子がすずちゃんと仲良くなることです。

こちらの例文だと、意味上の主語が「私の息子」ということは明示しないと絶対わかりません。だからfor my sonが付け加えられています。

文中でto不定詞の意味上の主語を示す場合

to不定詞の意味上の主語が文の主語とは異なり、また文脈から何か判断できない場合は、文中に意味上の主語を示す必要が出てきます。そのやり方は2つあります。

to不定詞の意味上の主語を示す場合
①意味上の主語を文中の他動詞の目的語で表す
②意味上の主語を【for+目的格】で表す

to不定詞の意味上の主語が文中の他動詞の目的語の場合

第5文型【主語+動詞+目的語+補語】の形をとります。この「補語」にto不定詞がきて、【主語+動詞+目的語+to不定詞】という形になると、文中の目的語が文中で補語となるto不定詞の意味上の主語になります。第5文型がよくわからない人は以下の記事をお読みください。

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My mother told me to stop talking about killing my teacher.
母は私に、先生を殺す話はやめなさいと言った。

先生を殺す話をやめるのは「私」です。不定詞の主語が【me→I】なので
My mother told me that I should stop talking about killing my teacher.
と言い換えることができます。

Her parents encouraged her to buy books that were useful and necessary for her study. 
彼女の両親は娘に勉強に役立つ、必要な本を買うように勧めた。 

本を購入するのは【her→she】です。

【主語+動詞+目的語+to不定詞】の形をとる動詞は決まっています。

【主語+動詞+目的語+to不定詞】 の形をとる代表的な動詞
advise+O+to do  Oに~するように忠告する
allow+O+to do Oに~することを許す
ask+O+to do Oに~するように頼む
compel+O+to do Oに~するよう強いる
encourage+O+to do Oに~するよう励ます
expect+O+to do  Oが~すると思う
force+O+to do Oに~するよう強いる
induce+O+to do Oに説いて~させる
request+O+to do Oに~するよう頼む
require+O+to do Oに~するよう要求する
tell+O+to do Oに~するよう命じる
urge+O+to do Oに~するようしきりに勧める
want+O+to do Oに~することを望む

ただし【主語+動詞+目的語+to不定詞】だと、to不定詞の意味上の主語が必ず目的語になるわけではないことに注意してください。

Dave Spector has many friends to speak Japanese fluently.
デーブ・スペクターには日本語を流暢に話す友人がたくさんいる。

David Spector has many friends who can speak Japanese fluently. と言い換えることができるので、文中の目的語のmany friendsがto不定詞の主語となっていますが、ここではto不定詞は直前のmany friendsを修飾している形容詞的用法として使われており、上記の第5文型の用法とは異なります。このto不定詞の形容詞的用法では、文中の目的語ではなく主語がto不定詞の意味上の主語になる場合もあるので注意が必要です。

The prime minister has a lot of problems to deal with right now.
首相は今、対処しなければならない問題をたくさん抱えている。

対処しないといけないのはa lot of problemsではなくて、the Prime Ministerです。deal with a lot of problemsと言い換えられるように、、この文では文中の目的語がto不定詞の意味上の主語ではなく、目的語となっています。

意味上の主語を【for+目的格】で表す場合

文中の目的語がto不定詞の意味上の主語でない場合、to不定詞の直前に【for+目的格】を置くことでto不定詞の意味上の主語を示すことができます。

There are many books to read.
読むべき本はたくさんあります。
➡There are many books for you to read.
あなたが読むべき本はたくさんあります。

to不定詞の形容詞的用法の文です。最初の文ではto不定詞の意味上の主語は一般の人々であることが推測されますが、特定の人に対する発言の場合はこのようにto不定詞の前に【for+目的格】を置くことで意味上の主語を示します。

You must set a good example for employees to follow.
従業員が従うべき良い手本を示さなければならない。

これも形容詞的用法です。to followがa good exampleを修飾しています。for employeesを追加することで、誰が従うのか明らかにしています。

Carson Wentz’s contract was very difficult for Philadelphia Eagles to escape.
カーソン・ウェンツの契約は、フィラデルフィア・イーグルスにとって避けるのが非常に難しい。

to escapeは形容詞のdifficultを修飾している副詞的用法の文ですが、for Philadelphia Eaglesを追加することで誰が避けるのが困難なのかを示しています。

World War II opened the door for many women to enter the National Weather Service.
第二次世界大戦は、多くの女性が(アメリカ)国立気象局に入る道を開いた。

to enter (入れるように)は動詞のopenedを修飾している副詞的用法の文です。誰が国立気象局に入れるようになるのかわかるようにfor many womenが追加されています。

in order to do (~するために)、enough to do (~するのに十分な)、too ~ to do (~しすぎて…できない)などの熟語にも【for+目的格】を追加できます。

Should I give up my girlfriend in order for her to have a better boyfriend?
彼女がもっといい彼氏を作れるよう、ぼくは彼女を諦めるべきですか?

This house is large enough for your family to live in.
この家はあなたの家族が住むのに十分な大きさです。

The pepperoni on my pizza is too spicy for me to eat.
私のピザの上にのってあるペパロニは辛くて食べられません。

to不定詞の名詞的用法でも【for+目的格】を文中に追加できます。ただしto不定詞が目的語の時はto不定詞の意味上の主語は文の主語なので不必要です。

His desire is for her to repent and believe in Jesus Christ.
彼の願いは、彼女が悔い改めてイエス・キリストを信じることです。

to不定詞がbe動詞の補語として用いられています。悔い改めてイエス・キリストを信じるのは誰かということでfor herが追加されています。

For him to live without porn magazines would be impossible.
彼がポルノ雑誌なしで生きていくことは不可能だろう。

to不定詞がbe動詞の主語として用いられています。ポルノ雑誌がないと生きていけないのは世の男性すべてではないので(その場合はFor men to live…になります)、for himが追加されています。 ただしこのような【for+目的格】から始まる文章を見かけることはありません。代わりに形式主語itを文頭に置いて、for A to doを後ろに回すのが正しい書き方です。

It would be impossible for him to live without porn magazines.

この形式主語のitを文頭に置く用法を次に見てみます。

【It is+形容詞+for [of] A to do】の用法

形式主語のit

to不定詞を含む句が主語になると、主語が長い頭でっかちになり文意をとりにくくなるので、通常はその場合、形式主語仮主語とも言います)のitを文頭に置いて、本来の主語(真主語と言います)を後に置きます。

To continue using finite fuel sources when advances in solar and wind technology are making it easier and cheaper for the consumer is ridiculous.
It is ridiculous to continue using finite fuel sources when advances in solar and wind technology are making it easier and cheaper for the consumer.
太陽光や風力の技術が進歩して、消費者がより簡単に、より安く利用できるようになっているのに、有限の燃料を使い続けるのは馬鹿げています。

後者の文では「それは馬鹿げている」と最初に言うので、聞き手も何が馬鹿げているのだろうかに関心が行き、理解しやすいですが、前者は主語がどこまで続くか予測がつかず、非常に意味をとりにくいです。

It is+形容詞+for A to do

【It is+形容詞+to do】構文のto不定詞も直前に【for+目的格】を置いて、to不定詞の意味上の主語を示すことができます。ただし非常に注意すべきことですが、この構文においてのみ、to不定詞の意味上の主語が【for+目的格】 ではなく【of+目的格】 となることがあります。後者については後でとりあげるので、まずは【It is+形容詞+for A to do】を見てみましょう。以下、この構文をとることのできる19の形容詞です。

【It is+形容詞+for A to do】 構文に用いる19の形容詞
convenient 都合が良くて
dangerous 危険な
difficult 困難な
easy 容易な
good 良い
hard 困難な
important 重要な
impossible 不可能な
interesting 興味深い
nice 良い、素晴らしい
possible 可能な
rare まれな、珍しい
safe 安全な
strange 奇妙な
tough つらい、きつい、大変な
uncomfortable 不快な
unpleasant 不愉快な
useless 無益な
usual 普通の、よくある

convenient 都合が良くて
It was convenient for her to attend the University of Tokyo because her aunt lived in Bunkyo City.
彼女の叔母が文京区に住んでいたこともあり、彼女には東京大学へ進学するのは都合がよかった。

dangerous 危険な
Discuss your thoughts on whether it is dangerous for children to watch violent cartoons.
子どもが暴力的な漫画を見るのは危険かどうかについてあなたの考えを述べてください。

difficult 困難な
It is difficult for the French government to ease entry restrictions on tourists until COVID-19 infections settle down both in France and overseas.
COVID-19の感染が国内外で収束するまで、フランス政府が観光客の入国制限を緩和するのは難しい。

easy 容易な
It is easy for cats to climb up trees, but getting down may be a different story.
猫が木に登るのは簡単ですが、降りるのは別の話になります。

good 良い
It’ll be good for Shizuku to have her own room so she can focus on her studies. She’s been acting so strange lately.
雫が勉強に集中できるように自分の部屋を持つのはいいことだ。最近、彼女の様子がおかしいんです。

このセリフは『耳をすませば』に出てきます。「部屋が広くなって雫も少しは勉強に集中できるよ。あの子この頃変だもの。」というセリフの英訳です。

hard 困難な
It is hard for me to understand why we tolerate so many barriers to agriculture trade when America is the No. 1 producer of agriculture products.
アメリカが農産物の生産量で世界一なのに、なぜこれほど多くの農産物貿易の障壁を容認するのか、私には理解しがたい。

important 重要な
It is very important for children to learn how to tell time on an analog clock.
アナログ時計で時間を知ることは、子どもたちにとってとても大切なことだ。

impossible 不可能な
It is impossible for me to have affairs with married women.
既婚女性との不倫なんて私にはありえない。

interesting 興味深い
It was interesting for her to explain how sign language closely resembles a piano.
彼女にとって、手話がピアノによく似ていることを説明するのは面白いことだった。

nice 良い、素晴らしい
It was nice for him to be with other young people instead of his parents.
彼にとって、両親の代わりに他の若者と一緒にいられたことはよかった。

niceが「親切な」という意味で用いられると、 【It is+形容詞+of A to do】構文が用いられるので注意してください。

possible 可能な
Is it possible for a man to get pregnant? 
男性が妊娠することは可能なのでしょうか?

rare まれな、珍しい
It is rare for Suzu-chan to get emotional.
すずちゃんが感情的になるのは珍しいですね。

safe 安全な
The Centers for Disease Control and Prevention (CDC) says it is safe for vaccinated people to unmask outdoors.
米国疾病管理予防センター(CDC)は、ワクチンを接種した人が屋外でマスクを外しても安全であるとしています。

strange 奇妙な
He felt it was strange for her to ask a stranger for money. 
彼女が見知らぬ人にお金をせびるのは変だと彼は思った。

tough つらい、きつい、大変な
It was tough for him to watch cartoons with his kids every night.
毎晩、子供たちと一緒にアニメを見るのは彼には大変だった。

uncomfortable 不快な
It is uncomfortable for me to refuse unhealthy foods when they are offered to me at get-togethers.
仲間の集まりで不健康な食べ物を出されても、断るのは気が引けます。

unpleasant 不愉快な
It is unpleasant for me to get help from others when necessary.
必要な時に人に助けてもらうのは私にとって不愉快です。

useless 無益な
There are many people who feel that it is useless for us to continue talking peace and non-violence against a government whose reply is only savage attacks.
いつも野蛮な攻撃で応答する政府に対して、平和や非暴力の話を続けても無駄だと考える人は多い。

usual 普通の、よくある
It was usual for Malawi women to have multiple partners, and for village women to approach male workers for sex in exchange for money.
マラウイの女性は複数のパートナーを持つのが普通で、村の女性は男性労働者にお金と引き換えに性交渉を持ちかけることもよくあった。 

It is+形容詞+of A to do

【It is+形容詞+to do】構文の形容詞が、careless (不注意な)、foolish (愚かな)、kind (親切な)、wise (賢明な)などの人の性質を表す場合、意味上の目的語は【for+目的格】ではなく【of+目的格】になります。この構文では「~するとはAは…だ」とよく訳されます。以下、 意味上の主語が【of+目的格】 となる形容詞を見てみますが、これらの形容詞の用法を一気に覚えるのは難しいと思います。語学は理屈1割、感覚と慣れが9割です。It is careless of her to…という英文を何度も目にしてやっと、It is careless for her to…という英文を見た時に「なんか変だぞ」と感じることができるようになります。だから、現時点では今すぐにforとofの使い分けができるようになることを目指すのではなく、 【It is+形容詞+to do】構文では意味上の主語が【for+目的格】ではなく【of+目的格】で表されることもあるということを頭に入れておく程度でよいかと思います。今後は 【of+目的格】 の英文を見かけるたびに、「ああ、このことね」と実感してください。【It is+形容詞+of A to do】で用いることが「可能」だからといって、実際にこの形で用いられているかどうかは別の話です。例えば、「bad (ひどい)」はこの型で用いられると説明している参考書が多いですが、実際にIt is bad of him to…という言い回しを見かけることはまずありません。

【It is+形容詞+of A to do】 構文に用いる21の形容詞
admirable 称賛に値する
brave 勇敢な
careless 不注意な
clever 賢明な
considerate 察しが良い、思いやりのある
cruel 残酷な
foolish 愚かな
generous 気前の良い
gracious 親切な、丁重な
kind 親切な
nice 親切な
noble 称賛に値して
polite 礼儀正しい
rude 無作法な
selfish 利己的な
silly 愚かな
smart 賢い
stupid 愚かな
thoughtful 思慮に富んだ
wise 賢明な
wrong 悪い

admirable 称賛に値する
I think it is admirable of you to take the time to educate these kids.
この子供たちを教育するために時間を割いてくれるなんてあなたは立派だと思います。

brave 勇敢な
It is brave of her to spend the night in the old house alone.
一人でその古い家に泊まるなんて彼女は勇敢だ。

『耳をすませば』にこの構文が出てきます。中学校の屋上で聖司が雫にイタリアのクレモーナに留学する話をすると、雫が「すごいなあ、ぐんぐん夢に向かって進んでいくって。」と言います。このセリフが英語版では以下のように訳されています。

It’s so brave of you to go after your dream like that.
直訳調: そんな風に夢に向かって進めるなんて勇気があるなあ。

careless 不注意な
It was careless of you to leave the door unlocked when you went out.
出かけるときにドアに鍵をかけないでおくなんて、君は不注意だなあ。

clever 賢明な
It was clever of you to pretend you liked ballet when you met that young and attractive woman for the first time.
その若くて魅力的な女性に初めて会ったとき、バレエが好きなふりをしたのは賢いなあ。

considerate 察しが良い、思いやりのある
It was considerate of him to postpone your engagement so it wouldn’t distract from his sister’s wedding plans.
姉の結婚式に支障をきたさないように婚約を延期してくれるなんて、彼は気が利くなあ。

cruel 残酷な
It is cruel of him to make the donkey carry such a heavy load. 
こんなに重い荷物をロバに持たせるなんて、彼は残酷だ。 

foolish 愚かな
It is foolish of you to break up with her.
彼女と別れるなんて君はバカだ。

generous 気前の良い
It is generous of you to lend me your new car for a week.
新車を1週間貸してくれてありがとう。

gracious 親切な、丁重な
It is gracious of you to offer to contact President Obama directly by email. 
オバマ大統領に直接メールで連絡すると申し出てくださってありがとうございます。

kind 親切な
It is kind of you to invite us for dinner.
夕食にお招きいただきありがとうございます。

nice 親切な
It was nice of you to lead me straight to this dragon’s hiding place.
直訳調: 竜の隠れ家まで案内してくれてありがとう。
lead A to B=AをBに導く; straight=寄り道しないでまっすぐに

『千と千尋の神隠し』での湯婆婆の双子の姉の銭婆のセリフです。「おまえさんのおかげでここを見物できて面白かったよ。」というセリフが英語版では上のように訳されています。

noble 称賛に値して
It is noble of you to sacrifice your life to bring him up, but it need not be a sacrifice. 
自分の人生を犠牲にして彼を育てることは立派なことだが、犠牲である必要はありません。

polite 礼儀正しい
It is polite of her to write me back at once.
すぐ返事をくれるなんて彼女は礼儀正しいなあ。

rude 無作法な
It is rude of you to interrupt Prime Minister Kan’s speech.
菅総理の演説を邪魔するのは失礼なことだ。

selfish 利己的な
It is selfish of you to not wear a mask in a public space.
公共の場でマスクをしないのは、あなたのわがままだ。

silly 愚かな
It is silly of her to say such a thing to a village head if she lives in this village.
この村に住んでいるのに、村長にそんなことを言うなんて彼女はバカだなあ。

smart 賢い
It is smart of you to start thinking about this now.
今から考えておくのは賢いですね。

stupid 愚かな
It is stupid of her to lend him her money.
彼にお金を貸すなんて、彼女はバカだなあ。

thoughtful 思慮に富んだ
It is thoughtful of you to bring the matter to our attention.
その問題に我々の注意を向けてくださってありがとうございます。

wise 賢明な
It is wise of him to get started as a student again.
彼が再び学生として出発したのは賢明なことだ。

wrong 悪い
She knows that it is wrong of her to peep at the balcony.
彼女はバルコニーを覗くのはいけないことだとわかっている。

『表現のための実践ロイヤル英文法』には【It is+形容詞+of A to do 】型に用いることのできる形容詞を27個あげていますが(p.142)、以下の11の形容詞はこの構文を使って表現することはほとんどありません。人の性質を表す形容詞だからといって必ずしもこの構文が常用されるわけではありません。別にこの構文を使わなくても言いたいことを表現できるので、むやみにこの構文を使わないように気をつけましょう。

【It is+形容詞+of A to do 】を使うことをお勧めしない形容詞
bad ひどい
bold 大胆な
crazy 無分別な
decent 寛大な
good 親切な
honest 正直な
naughty 腕白な
right 正しい
sensible 良識のある
sweet 優しい
wicked 意地の悪い

また、 ofがとれる形容詞の中には、forも実際には使える形容詞があります。例えば、rightとwrongは主語が特定の人物でないと、意味上の主語が【for+目的格】 になるので注意してください。

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