英文法

使役動詞make, let, have, getの使い分け

※『例文で英単語を4800語覚える』講座受講生を対象とした記事です。 テキストは旺文社の『表現のための実践ロイヤル英文法』を使用。

12A 使役動詞 (pp.38-40)

ある行為を他人に行わせることを表す言い方を「使役」と言いますが、特に「使役動詞+目的語+動詞の原形」の形をとる動詞を「使役動詞」と言います。make, let, haveがその代表ですが、「get+目的語+to do」の形をとるgetも使役動詞に含まれることがよくあります。そうなると「allow+目的語+to do」も含めてよさそうですが、なぜか英文法書で例外として認められているのはgetだけです。以下、make, let, have, getの使役動詞としての用法を見てみます。

使役動詞のmake

ハウルに頼まれ、年老いたソフィーは宮殿のパーティーに出席しますが、ハウルもこっそりパーティーに参加します。「なによ!ハウルが来るなら私が来ることなかったのよ!」と怒るソフィーに、「ソフィーがいると思うから行けたんだ。」と返答するハウル。

“Why did you make me come here if you were coming yourself?” “Knowing you’d be there gave the courage to show up.”

come yourselfは「あなた自身が来る」、courageは「勇気」、show upは「現れる」という意味です。「make+O+動詞の原形」は「Oに~させる」という意味の使役動詞の定番表現ですが、使役動詞のmakeは強制性が含意されます。つまりここで行為をするAはその行為をすることを嫌がっているにもかかわらず強制的にさせられているわけです。例えば、My father made me marry Horiemon. だと、「私はホリエモンと結婚したくなかったが父に無理やり彼と結婚させられた」という意味になります。

『魔女の宅急便』で一番不可思議なセリフはウルスラの「魔女の血、絵描きの血、パン職人の血。神様か誰かがくれた力なんだよね」 というセリフです。「血」とはおどろおどろしいですが英語版では「血」はspirit、つまり「精神」に変えられています。ここでbloodと訳すると非常に宗教的・差別主義的なニュアンスが生まれそうです。

That same spirit is what makes me paint and makes your friends bake. But we each need to find our own inspiration, Kiki.

paintは「絵の具で描く」、bakeは「オーブンで焼く」、need to doは「~する必要がある」、inspirationはそのまま「インスピレーション」です。whatは文の主語として用いられた「~するところのもの」という意味を表わす関係代名詞です。関係代名詞whatの用法については『実践ロイヤル英文法』の[129A(1)]を確認してください。 ここでも使役動詞はletではなくmakeなので、絵描きやパン職人が自分のスピリットに従って自然と絵を描き、パンを焼くのではなく、スピリットの要請に従ってそうさせられているという意味になります。

使役動詞のlet

泊るところがなくて困っているキキにオソノがうちに泊まってもいいよと言います。「なーんだ、そうなら早く言えばいいのに。うちに空き部屋があるから。」「使っていいよ。」「ホントですか? 奥さん!」

“We have a spare room in the attic. You can use that.” “You’d really let me stay with you?” “Why, of course!”

spare roomは「空き部屋」、atticは「屋根裏」、stay withは「~の家に滞在する」、whyは承諾を示す間投詞です。ここでオソノはmakeではなくletを使っています。letとmakeの語感の違いをしっかりマスターしてください。『実践ロイヤル英文法』には「(あいてがしたがっていることを)~させてやる」という意味が載っていますが、「させてやる」という意味で覚えるとどこかしらletにも強制性の意味合いが含まれていると勘違いしそうです。そうではありません。「let+O+動詞の原形」は「Oが~することを可能にする」という意味の「allow+O+to do」とほぼ同義です。「make+O+動詞の原形」ではOはやりたくないことをやらされます。それに対して「let+O+動詞の原形」ではOはやりたいことをやらせてもらえます。 My father let me marry Horiemon. だと、「私はホリエモンと結婚したくて、父はそれを許してくれた」という意味になります。 letは過去形もletであることに注意しましょう。letはこのように積極的に何かをするように勧めているわけではありません。ボールは相手にあげて、投げるかどうかは君の自由だ、ぼくは反対しない、というのが使役動詞letの用法です。

同じくキキとオソノの会話です。電話を引こうとするキキにオソノはうちの電話を使っていいよと言います。「ねぇ この店の電話を使いなよ。お客がつくまでが大変なんだからさ。私こんなお腹だから、あんたが店番やってくれれば部屋代と電話代ナシってのでどう?」

Since I’m expecting a baby I could use help. If you mind the store, once in a while, I’ll let you have the room and the phone.

sinceは「~なので」(=because)、expect a babyは「子供を産む予定である」、helpは「手伝う人」、mind the storeは「店の番をする」、once in a whileは「時々」。ここでも使役動詞はmakeではなくletが使われています。letだと「自由に使っていいよ」というニュアンスになります。間違って…make you have the room and the phone. とすると、嫌がるキキに無理やり部屋と電話を使わせるというおかしな意味になります。

『紅の豚』の最初の場面です。ポルコが女の子たちと金貨を奪った空賊を追いかけます。ポルコが送ったモールス信号が空賊の一人に読み取られます。「豚から再び通信! “金貨ハ半分クレテヤル” “残リト人質ヲ オイテウセロ”」

He says, “hand over the girls and the gold, and I’ll let you keep some loot so you can repair your ship.”

hand overは「~を手渡す」、keepは「~を保持する」、lootは「戦利品、略奪品」、soは「だから」、repairは「~を修理する」という意味です。英語版ではかなり意訳されています。ポルコは、女の子たちと金はちゃんと返せ、略奪品の一部はお前らにあげるから飛行艇の修理代くらいはあるだろう、と言っています。ここで使役動詞がmakeではなくletでないことに注目してください。makeだとポルコが戦利品の一部を空賊らに無理やり持たせるという意味になってしまいます。そうではなく、ここでは空賊らは略奪品をすべて返してもいいわけです。でもポルコは欲しけりゃ飛行艇の修理代分くらいの分は持って行っていいと言っています。だからmakeではなく、letが使われています。

使役動詞のhave

使役動詞のhaveは「have+O+動詞の原形」の形で「Oに当然してもらうことを~してもらう」という意味になります。「彼に手紙を書いてもらう」は I had him write a letter. と表現します。使役動詞のhaveは、常に目的語の後が動詞の原形のmakeとletと異なり、「have+目的語+現在分詞」、「have+目的語+過去分詞」の形もあるので注意してください。「携帯電話を修理してもらう」だと携帯電話は修理されるものなので、 I have my cell-phone repaired. になります。『ハウルの動く城』では、犬のヒンにソフィーをここまでエスコートしてもらったとサリマンが話しています。

His name is Heen. He’s my errand dog. I had him escort you here.

errandは「使い走り」、escortは「~をエスコートする」と意味の動詞です。ヒンはご主人様のサリマンがお願いしたことを「やりたくない」と断るわけはないでしょう。だからここで使役動詞のhaveが使われています。

使役動詞のget

相手を説得して何かをしてもらうとき「get+O+to do」の形を使います。「無理やりさせるmake、好きなようにさせるlet、当然のことをしてもらうhave、説得してしてもらうget」と覚えてください。getだけは目的語の後が動詞の原形ではなく「to+動詞の原形」になります。How can I get him to stop beating her? だと「どうしたら彼に彼女を殴るのをやめさせることができるだろうか?」という意味になります。『涼宮ハルヒの憂鬱』で冬の寒い日に電気屋にヒーターをただでもらいに行く場面があります。ハルヒは電気屋の店主にお願いしてヒーターをもらうわけですが、無理やりもらうわけではありません(『涼宮ハルヒの憂鬱』にはコンピューター研から無理やりパソコンを頂戴するエピソードがあります。そこで使われるべき使役動詞は「無理やり~させる」なのでgetではなくmakeです)。彼女は映画のスポンサー広告を出すから、その代償としてヒーターを欲しいと説得しているから使役動詞getが使われているわけです

You know that appliance store that sponsored our movie? Well, I just get the owner to give us a heater for free.

appliance storeは「家電販売店」、sponsorは「~のスポンサーになる」、ownerは「オーナー」、for freeは「ただで」という意味です。give us a heaterは第4文型であることにも注意してください。

『天空の城ラピュタ』にも「get+O+to do」構文が出てきます。パズーはドーラに「ぼくを仲間に入れてくれないか?!・・・シータを・・・助けたいんだ。」と言います。そしてドーラは「んん?その方が娘がいうこときくかもしれないね… 」とつぶやきます。

“But let me come with you! I need to save her!” …”Hmm. Guess you’ll be useful in getting Sheeta to cooperate.”

saveは「~を助ける」、guessは「~を推測する」、be useful in …ingは「~するのに役に立つ」、cooperateは「協力する」という意味です。Guess…はI guessのIが省略されています。一緒に行きたいパズーは使役動詞makeではなくletを使っています。彼はいっしょに行きたいので強制性を含意するmakeを使うと意味がおかしくなるからです。ドーラはシータに協力してもらいたいと思っていますが、それはムスカのように無理やりではなく(その場合はmake)、私と組んだ方が得だよと言ってシータを説得してそうさせようとしているので「get+O+to do」構文が使われています。