英語学習法

大学受験の英語リスニング対策

※『例文で英単語を4800語覚える』講座受講生を対象とした記事です。

英語のリスニングは難しい

日本人で英語がそれなりにできる人たちはリスニングが一番難しいと口をそろえて言います。リーディング・ライティング・スピーキング・リスニングの中で一番習得しづらいのがリスニングです。そう言うと、「いや日本人がネイティブ並みの英語力をつけれるわけがないんだし、リーディングもライティングもスピーキングも難しいでしょう」と言い返されそうでしょうが、日本人でも7歳児ネイティブのリーディングとライティングとスピーキングの力をつけることは特に困難でありません。しかし、いくらがんばってもネイティブの子供でさえ聞き取れる英語が聞き取れなかったりします。例えば、アメリカの小学一年生用の教科書を読むのは簡単です。でも英検一級を取った日本人でも、ネイティブだと幼児が視聴するセサミ・ストリートの歌を聴きとるのは大変です。

外国人が日本語を習得するのは難しいと思っている日本人は多いのですが、少なくとも発音に関しては日本語は非常に習得が容易な言語です。日本語の単語の意味が分からなくて外国人に聞き返されることがあっても、何を言っているのかわからなくて聞き返されることはあまりありません。しかし、日本人が英語でコミュニケーションをとるときは、ネイティブが何を言っているのかわからないことがよくあります。外国人が日本語の会話を理解できないときは、「すみません。かしわもちというのはなんですか?」と尋ねるのに(「かしわもち」という音は聞き取れている)、日本人が相手の英語が聞き取れないときは、Could you say once more? (もう一度言ってもらえますか?)となってしまいます。単語の意味ではなく、音自体が聞き取れていないためです。英語リスニング習得は大変なので、英語ができるようになりたいと真剣に考えている英語学習者はリスニングを軽視せずに、毎日英語を聞く習慣を必ずつけてください。

なぜ英語を聞き取れないのか

英語のリスニング力をつけるためには、当然、英語を聞かないといけません。ただし漫然と聞いていても英語を聴き取れようにはなりません。好きな洋楽をいくら聴いていても永遠に英語の歌詞を聴き取れるようにはなりません。ちゃんとスクリプトと照らし合わせて、自分はどこを聴き取れないか確認する作業をしながら英語を聞く必要があります。聞き取れない理由は2つに還元できます。まず第1に音を聞き取れない。英語には、[rとl」、「bとv」、「sとth」のように日本人には違いを聴き取るのが困難な発音が数多くあります。発音を聞き取れなければ当然のことながらネイティブの会話を聞き取れなくなります。

ただしたいていの場合は、状況で何の単語か推測することができます。lice(しらみの複数形)とrice(米)が同時に会話に出ることはないのでrとlをうまく聴き取れなくても、どちらを言っているかは予想できます。むろん、文脈では判断できないこともあります。有名なのはLost in Translationという映画の一場面です。主人公の部屋に日本人の女性が入ってきて「ストッキングを引き裂いて(Rip them!)」と繰り返し言うのですが、それが「ストッキングに唇をあてて(Lip them!)」としか聞こえないというオチになっています。

次に聴き取れない理由は、単に英単語の意味がわからないことです。英語は特に会話では、単語1つ1つを区切って発音せず、単語同士がくっついて発音されるので(2つの単語が連結して発音が変わる現象を「リエゾン」と言います)、単語自体を知らないと、1つの単語なのか2つの単語が連続して発音されているのかもわからなくなります。そこで英語を聴き取れるようになるためにはボキャブラリー力をつける必要があります。

大学受験の英語リスニング

英語を極めたいのであれば、当然、英語の発音も完璧にマスターしないといけません。そうしないとハリウッドの映画や、HuluやNetflixで視聴できるテレビの英語ドラマを字幕なしで楽しむことができません。クレヨンしんちゃんを英語で楽しむこともできません。

朗報が一つあります。大学受験や英検やTOEICのリスニング問題はセサミストリートやクレヨンしんちゃんの英語を聞きとれなくても満点を取れます。試験に出てくる英語はたとえ会話文でもフォーマルできちんと発音されるのでリエゾンがあまり生じません。その点、試験の英語はニュース英語に似ています。日本人英語学習者にはネイティブの子供が見るアニメよりも、大人が見るニュース番組の方がはるかに英語が聞き取りやすいです。出てくる単語は後者の方がはるかにレベルが高いにもかかわらずにです。ぶっちゃけ[l]と[r]を耳で区別できなくてもTOEICで満点をとれるし、東大の英語リスニング問題でも特に困りません。

大学入試でリスニング問題ができない一番の理由はリーディングができないことにあります。1分で150語読めない人が150語/1分のスピードの英語を聞き取れるわけがありません。英語の基礎はリーディングにあると考え、まずはリーディング力を確実につけることがリスニング力をつける一番の秘訣です。リーディング力をつけるためには英単語を確実に覚えてボキャブラリー力をつけ、英文法を習得しないといけません。さらに大事なのは、英語の文章を日本語を介さずに理解する癖をつけることです。英文をいちいち日本語に訳そうとしないでください。日本語に訳さないというのは英文を前から理解するということも意味します。リスニングの試験では次々と聞こえる英単語をそのまま理解していかないとすぐに何を言っているのか全く理解できなくなります。英語を「返り読み」しても何の得にもならないので必ず前から理解するようにしてください。下の画像を見てください。

「だから勝手に入ってくんなっつったろう!」 というセリフがI already told you not to come barging in! と訳されています。barge inは「ノックせずに部屋に入り込む」という意味です。日本語では「勝手に入ってくるな」が先に出ますが、英語では最後に出てきます。日本語を介してこの英語を理解しようとすると返り読みしてしまいます。それではいけません。
I already… 私はすでに
told you. あなたに言った
not to come barging in. ノックしないで部屋に入るないように
という風に「必ず」前から理解してください。

大学受験の英語リスニング対策

このように大学受験対策としてのリスニング学習は、まずは語彙力と英文法をしっかりマスターし、さらに英文を日本語に訳さずに前から理解する癖をつけてリーディング力をつけることが一番大事です。

次はもちろん実際に英語を聞くことです。大学受験対策レベルであれば受験英語用のリスニング教材で十分です。英語教科書のCDは必ず手に入れて完璧にマスターしてください。リスニング対策をしている英語参考書を使ってもよいです。定番ですが、NHKのラジオ英会話もお勧めです。もっとお勧めなのは高校卒業までに英検準1級もしくは2級合格を目指すことです。ビジネス英語主体のTOEICよりも英検の方が良いですが、TOEIC学習をしても損することはありません。

ただしこれらの英語教材は英語学習者用に作られているので英語ネイティブが自然に使う英語とは多少異なります。自然な英語よりも不自然にゆっくり、かつ一つ一つの単語をしっかり発音しすぎているという感じです。また英語学習用教材は内容がつまらないと感じるかもしれません。そういう人はまずは日本のアニメの英語版DVDを視聴することをお勧めします。英語版DVDの購入法と視聴法については別の回で説明します。

大学受験に合格するレベルには英語の偏差値が70を超え、英検準一級は取得済み(もしくは取得予定)。大学入試合格レベルにはすでに達しているけど、もっと自分の英語リスニング力を極めたいという希少な大学受験生に、文句なしにお勧めの教材はBBC放送の6 Minute Englishです。毎週木曜日に更新されます。海外の大学の受験を考えている人は必ずやっておくべき教材です。トランスクリプトも載っているのでリーディング教材としても使えます。リーディング教材としては日本の大学受験レベルです。リスニング教材としてはレベルがかなり高いですが、トランスクリプトを読んだ後に聞けば聞き取りもなんとかできます。英単語の意味の説明も英語なので、日本語をまったく介さずに英語を学習できる最適の教材と言えます。