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【魔女の宅急便の英語】魔女宅で習得しておきたい英文法14選

目次

『魔女の宅急便』の英語

語彙力の向上とリスニング強化のために英語アニメを視聴している人は多いですが、英語アニメが英文法と語法を習得するのにも効果的ということを理解している人は少ないようです。今回は『魔女の宅急便』(英語タイトル: Kiki’s Delivery Service)の英語DVDを例にとって、英語版日本アニメは模範例文の宝庫ということを明らかにしたいと思います。

現在完了進行形

最初の例文です。キキが野原に寝込んでラジオを聞いていると、ラジオから下のセリフが流れてきます。

We‘ve been receiving so many calls, asking about this marvelous airship.

We’ve=We have
receive a call=電話を受ける
marvelous=extremely good
airship=飛行船
※asking about this marvelous airshipは分詞構文だとすると主語がweになり電話を受けている側が尋ねているという意味不明のセリフになるので、askingはmany callsにかかっている分詞と考えるのが良さそうです。ただし、分詞の主語が本文の主語と異なる「懸垂分詞」である可能性もあります。

ラジオ局に飛行船についての問い合わせが殺到していると言っています。英語版ではこれが最初のラジオの音声なのですが、日本語版ではこのセリフはありません。注意すべきことはここで「現在完了進行形」の構文が使われていることです。「have been …ing」は、過去のある時点から現在まで続いていることが今も進行中であることを示します。つまり、(1)問い合わせの電話が過去から現在まで鳴りっぱなし、かつ(2)今現在も問い合わせの電話が鳴りっぱなし、という2つのことを表現しています。(1)だけであれば、
We have received so many calls.
(2)だけであれば、
We are receiving so many calls.
ですが、ここでは2つとも表現したいので現在完了進行形になるわけです。
We have been receiving so many calls.

現在完了進行形は必ずしも現時点での進行を表さず、直前で終了した場合に使われることもあります。その場合は現在完了との意味上の違いはニュアンスの差程度のことになります。「過去のある時点から現時点まで」という意味では違いはないが、終了間際に活動が特に活発だと現在完了ではなく、現在完了進行形を使いたくなります。このラジオの声のケースでは、話している時点でまだ視聴者からの電話は続いていると考えてよいかと思います。

使役動詞のlet

同じくラジオから流れてくるセリフです。

I’ll let you know as soon as we have more information available.

as soon as=~するとすぐに
information=情報
available=利用できる able to be obtained or used

この文も日本語版にはありませんが良い構文なのでそのまま覚えましょう。

「let A do」で「Aに自由に~させる」(allow A to do)という意味になります。「make A do」(Aに無理やり~させる)との違いをしっかり理解してください。日本語ではどちらも「させる」という表現になりますが意味はまったく異なります。父親になった気分で次の文章を読んで見てください。

(1) I let my daughter marry Horiemon.
(2) I made my daughter marry Horiemon.

(1)だと、何かとお騒がせなホリエモンだけど、娘の意思を尊重して彼との結婚を許したというニュアンス、(2)だと、嫌がる娘に無理やりホリエモンと結婚させたというニュアンスになります。このようにletとmakeは同じ「させる」でもまったく意味合いは変わってきます。

現在完了

キキはジジに、自分がどんなにこの日(修行に旅立つ日)を待ち焦がれていたか話をします。日本語版の「わたしは贈り物のふたを開けるときみたいにワクワクしてるわ。」というセリフが英語版では「わたしは13歳になってからずっとこの旅をすることにワクワクしてるわ。」という意味に変わっています。

You know ever since I turned 13, I’ve been excited about making this trip.

turn=(~歳)になる
excited=興奮して、ワクワクして
make a trip=旅をする

ever sinceはsinceでもほとんど意味が変わりません。「~以来」その状態が継続していることを強調したいときにever sinceと言います。日本語ではsinceが「~以来」、ever sinceが「~以来ずっと」という意味で覚えましょう。

make sure

キキが今晩旅に出ることを知った父親のオキノは電話をかけます。「オキノです。今夜キキが発つことになりまして。」誰に話をしているのかわかりませんが、英語版では母親に電話をかけているということになっています。

Hi, Mom, it’s me. I wanted to make sure you knew that Kiki is leaving tonight.
(ママ、俺だよ。キキが今晩旅立つこと知っているよね。)

make sureは「~を確かめる、確認する」(check so that you are certain that something happens or is true)という意味のイディオムです。

名詞が続くのであれは、make sure of
動詞が続くのであれば、make sure to
名詞節が続くのであれば、make sure thatという形になります。thatは省略可能です。

I made sure of her arrival. 彼女の到着を確かめた。
Make sure to turn off the TV. 必ずテレビを消してください。
Make sure that you keep all the receipts. レシートは必ず全部とっておいて下さい。

現在完了と現在時制の違い

この色の服は嫌だというキキ。コキリはこう言ってきかせます。「昔から魔女の服はこうって決まっているのよ。」

Witches have worn this color for a very long time, Kiki.

witch=魔女
wear-wore-worn=~を着ている
for a (very) long time=長年にわたって

この現在完了は「過去のある時点から現在までの状態の継続」を意味しています。「魔女は長年にわたって、この色の服を着ている」とコキリは言っています。ここで興味深いことは、その過去のある時点よりも前はこの色の服を着なくてよかったという事実も示されていることです。「最初から魔女はこの色の服」というのであれば、完了形ではなく現在形を使って、
Witches wear this color.
と言わないといけません。ここでの現在形は「現在の事柄」ではなくて、「いつの時代にも当てはまること」を意味します。

keep …ing 「~し続ける」

キキが「わかってるわ。心の方は任せといて。お見せできなくて残念だわ。」と答えると、コキリは「そしていつも笑顔を忘れずにね。」と言います。このコキリのセリフが英語版では以下のように訳されています。

Just follow your heart and keep smiling.

「keep …ing」は「~し続ける」。つまり、「笑顔を忘れずに」が英語セリフでは「笑顔をし続けて」という意味で訳されています。justはonlyもしくはsimplyという意味で使われています。「~だけでいいのよ」というニュアンスです。follow one’s heartは「自分の心の命じるままに従う」という意味です。オリジナルにはないセリフです。

be sure to 「必ず~する」

コキリはキキにこう言います。「落ち着く先が決まったらすぐ手紙を書くのよ。」

And be sure to write home as soon as you’re settled.

be sure to=必ず~する
write home=故郷へ便りを書く
as soon as=~するとすぐに immediately after something happens
be settled=(新しい家・職場などに)なじむ、落ち着く

かわいい息子[or 娘]が東京の大学に進学した時につい親が言いたくなるセリフです。

仮定法のwould rather that S + V 「~する方がいい」

自分が作ったほうきを持って行こうとするキキにコキリは「だめよそんな小さなほうきじゃ。お母さんのほうきを持って行きなさい。」と言います。

Honey, it’s too small to be really safe. I’d rather you took my broom. I know it better.

honey=大事な人への呼びかけ
broom=ほうき
too A to do=~するにはAすぎる
better=より良い


「むしろ~したい」、「~する方がいい」という意味の「would rather (that) S + V」の節内の動詞は仮定法で過去形になります。だからコキリはI’d rather you take my broomではなく、I’d rather you took my broomと言っています。ただし仮定法と言っても、必ずしも実現が困難だったり、不可能な願望にしか「would rather」構文を使えないというわけではありません。ここでもコキリはキキに自分のほうきを持っていかせることに成功します。

祈願のmay

キキが旅立って見えなくなると父親のオキノがこう言います。「大丈夫だ。無事に行ったようだよ。」このセリフが英語版では「うちの娘が元気で安全な旅ができますように」という祈願のセリフに変わっています。

May our little baby be well and have a safe trip.

ここでのMayは「May + S + 動詞の原形」で「祈願」を表わし、「~でありますように」という意味になります。副詞のwellはいろんな意味がありますが、ここではhealthyという意味にとりたいです。この文章は
I hope our little baby will be well and have a safe trip.
と言い換えることができます。

「Would you mind…?」と尋ねられた時の返答の仕方

キキがジジと空を飛んでいると、修行中の魔女に出会います。

「こんばんは。」「あら。あなた新人?」「はい! 今夜出発したばかりです。」「その音楽止めて下さらない? わたし静かに飛ぶのが好きなの。」「あっ。」

キキ: Hey. Good evening.
別魔女: It was. You’re new. Aren’t you?
キキ: Yep! How would you guess? I just left home tonight.
別魔女: Uh-huh. Would you mind turning off the radio? I prefer to fly without being distracted.
キキ: Oh! Yeah, sure.

leave home=家を出る。leftはleaveの過去形
turn off=(テレビ・ラジオ)を消す
prefer to=~する方を好む
distract=気を散らす


「Would you mind …ing?」は「~していただけますか?」という意味の「丁寧な依頼」を表わします。mindは「~を嫌に思う」という意味なので直訳すると「~するのを嫌に思いますか?」という意味になります。そのため、承諾するときは Not at all. Of course not. などの否定の形になります。あわてて Yes. と言うと、「はい、嫌に思います。」という意味になるので注意が必要です。

とはいっても、実際にはネイティブもこの区別が適当になることがあります。キキも Oh! Yeah, sure! と返答しています。文法的にはこれは間違いです。これだと逆の意味になりますが、文脈からキキはラジオを消すことに同意しているのがすぐわかります。

動詞hearとsmell

旅に出たその日、大雨が降ってしまいます。雨宿りしようと飛び込んだ列車で一夜を過ごすキキとジジ。寝床代わりにも草の中で寝ていると、その下にいた牛がキキの足を舐めて起きてしまいます。その時のキキのセリフが「ごめん、あなたたちのご飯って知らなかったの。」ですが、英語版では「(キキ)牛の声が聞こえるわ。」「(ジジ)僕には牛の匂いがするよ。」というセリフが付け加えられています。

キキ: I think I hear cows!
ジジ: I think I smell cows.
キキ: Oops! Sorry. We didn’t mean to fall asleep in your breakfast.

hear=~の声を聞く
smell=~の匂いを感じる
oops=へま・失敗をしたときについ出てくる言葉
mean to=するつもりである
fall sleep=sleep


「~の声を聞く」をいちいちhear the voice of…と言ってはいけません。I can’t hear you. で「あなたの声が聞こえない」という意味になります。同じく、スカンクの匂いがしたら I smell skunks. でオーケー。

have gottaという表現

キキ: 「うわぁ~。ジジ、海よ海!すご~い。初めて。」
ジジ: 「なんだ。ただの水たまりじゃないか。」

英語ではこんなセリフになっいます。

キキ: Wow! Jiji, you’ve gotta come see the ocean. It’s beautiful!
ジジ: Big deal. It’s just a big puddle of water.

come seeはcome to see (~しに来る)のtoが省略された形です。go to seeも会話ではよくgo seeと省略されます。

the oceanは海のことですが、「日本海」のようなひとつの海ではなく、地球の70%を覆う海全体のことを指します。個別的な海ではない、誰にとっても既知の一つしかない海洋なのでoceanには通常、定冠詞のtheがつきます。そして地球全体の海が太平洋(the Pacific Ocean)、大西洋(the Atlantic Ocean)、インド洋(the Indian Ocean)、北極海(the Antarctic Ocean)に分割されます。

Big dealとは、なにか自分ではすごいことを言ったりしたと思っている相手に対して、からかっていう言葉です。ここでは、海を初めて見て興奮しているキキに対し、「そりゃ、大したもんだ」と皮肉ってるわけです。

上の文章で一番重要な単語はYou have gottaの省略形のyou’ve gottaです。この言葉を知らないと、とたんにハリウッド映画やTVドラマがまったく聴き取れなくなります。それくらいアメリカでは定番の表現です。have gottaはhave got toが省略された形ですが、意味はhave toとほぼ同じです。ここでは、キキはジジに対して「あんたも海を見に行かないといけないわ」と言っているわけです。have gottaはさらに省略されてgottaになることもあります。You gotta come see the ocean. でもいいわけです。

彼女に会わないといけないときは、
I gotta see my girlfriend.
OR
I’ve gotta see my girlfriend.
宿題を仕上げないといけないときは、
I gotta finish my homework.
OR
I’ve gotta finish my homework.
となります。

be supposed to ~することになっている

道路のすぐ上を飛び回って交通事故を引き起こしそうになるキキ。交通警察官が走り寄ってこう言います。「きみきみー。道路に飛び出しちゃだめじゃないか。あやうく大事故になるところだ。街中を飛び回るなんて非常識極まりない。」

キキは「でも私は魔女です。魔女は飛ぶものです。」と反論しますが、警察官に「魔女でも交通規則は守らなければいかん。住所と名前は。」と言い返されます。

キキ: But I’m a new witch, sir.  We’re supposed to fly around.
警官: You’re supposed to obey the law. Now give me your name and address.

witch=魔女
fly around=飛び回る
obey the law=法に従う、法律を守る


be supposed toは「~することになっている」と訳されます。「魔女は飛び回るものよ」キキは言い訳しますが、警察官が、「君らは法を守ることになっている」と言い返しています。ここでのyouは①キキ、②魔女たち、③みんな、の3つの可能性があります。③の「みんな」とは「人と魔女みんな」ということです。つまり総称人称としてのyouです。we, you, theyは特定の人たちのことではなく、漠然と一般の人々を表わすことがあります。①、②、③のどれが正しいかはわかりません。

get A out of trouble

キキにほうきを見せてと話しかけるトンボ。なれなれしく話しかけてくるトンボにキレるキキ。

「助けてくれてありがとう! でもあなたに助けてって言った覚えはないわ。それにきちんと紹介もされてないのに女性に声をかけるなんて失礼よ。フン!」

Thank you for getting me out of trouble.  But I really shouldn’t be talking to you and you wanna know why?

直訳すると「私を助けてくれてありがとう。でもやっぱりあなたと話すべきではないわ。なぜだか知りたい?」となります。

Aさんをトラブルから救うのがget A out of troubleです。

get A out of trouble=Aが困っているのを助ける、Aを難儀から逃れさせる

If you get her out of trouble, she might begin to love you.
彼女をトラブルから救ったら、あなたを好きになるかもしれないよ。

逆に、誰かを困った状態に追いやるのが、get A into troubleです。

get A into trouble=Aに迷惑をかける

I asked a detective to get her into trouble.
探偵に彼女を困らせるよう頼んだ。

ちなみにキキのその後の「それにきちんと紹介もされてないのに、女性に声をかけるなんて失礼よ。ふん!」というセリフは、

It’s very rude to talk to a girl before you’ve been introduced and before you know her name.  Hmph!

と訳されています。

rude=無作法な、失礼な
talk to A=Aに話しかける
introduce=~を紹介する

この後にホテルに泊まれなかったキキは放浪しているとオソノに出会い、オソノの家に下宿することになります。最初の20分以降も重要構文満載なので皆さんも一度、英語版の魔女の宅急便DVDを使って英語の勉強をしてみてください。リスニング力もつくし、超おすすめです。アニメのセリフを使って英語を学習する方法については『6カ月で英単語・語法・英文法完全マスター』講座で詳しく説明しています。

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