助動詞は動詞と結びついて意味を追加します。品詞については以下の記事を参照してください。
mayとmight
助動詞mayの過去形がmightです。may, mightともに「許可」、「推量」の意味で使われます。mightの方が弱弱しいニュアンスがあり、それ故、丁寧な表現になります。
許可 「~してもよい」
mayはcanより形式ばった言い方。相手の許可を求めて「~してもよろしいですか?」と言う場合はMay I ….? よりもCan I ….?と言う方がベターです。
「もう行ってもいいですか?」という意味でCan I go now?と書いているシーンですが、May I go now?とも言えるわけです。このように許可を求める場合は疑問文になりますが、それにゴーサインの場合はYou can go now. もしくはYou may go now. になります。どちらも「行ってよろしい」という意味になりますが、mayだと「~かもしれない」という意味と間違えることがあるので、canを使う方が望ましいです。また「許可」の意味ではmayの代わりにmightは使ってもよいですが、mightはcanよりもさらに丁寧な言い方なので、頼み方が非常に弱弱しくなります。自然な状況ではcanもしくはcouldを使うのが無難でしょう。
「許可」の否定であるmay notは「~してはいけない」という意味になりますが、must notと言うと、禁止の度合いが強くなります。
【例文】You may not enter this building. (この建物に入ってはいけません)
空からシータがゆっくりと降りることができた謎の秘密は首にかけてあるネックレスにあると勘づいたパズーはシータに「ねぇ、それ、ちょっと見せてくれる?」と言います。「これ?」「うん。」
“May I see your necklace for a second?” “This?” “Yeah. Do you mind?”
Can I see your necklace for a second? と言ってもよいです。Could I see your necklace for a second? でもオーケー。 for a secondは「少しの間」という意味です。
推量 「~かもしれない」
mayは「~かもしれない」という意味で可能性を表わす mightの方がmayよりも確信を持てない弱い推量になりますが、その差はニュアンス程度であり、ほとんど同義語とみなして構いません。ちなみに疑問文ではこの意味でmayは使われません。
He may be Suzu’s boyfriend. (彼はすずちゃんのボーイフレンドかもしれない)
×May he be Suzu’s boyfriend?←間違いです。
Might he be Suzu’s boyfriend? (彼はすずちゃんのボーイフレンドかもしれないですか)←文法的にはこちらが正しいです。ただし「~かもしれないですか」と尋ねることはあんまりありません。
『風の谷のナウシカ』でユパ様がトルメキア人に怒鳴ります。「小なりとはいえその国に対するこれがトルメキアの礼儀か!」
This may be a small kingdom, but it clearly deserve your courtesy and respect.
kingdom=王国; deserve=~に値する; courtesy=丁重な行為; respect=尊敬、敬意
ユパ様が英語で「これ(風の谷のこと)は小さな王国かもしれない」と言っていますね。
mayもmayの過去形のmightも「~かもしれない」という意味になります。「~したかもしれない」、「~だったかもしれない」という過去の推量は「may have+過去分詞」もしくは「might have+過去分詞」という形で表現します。
カンタのおばあちゃんとサツキの会話です。「バス停にもいなかったけ?」 「うん」 「おかしいな。どこさ行っちゃったもんだか」
“No. She wasn’t at the bus stop?” “No.” “Let’s think. Do you know anywhere else she might have gone?”
ここでメイのどこかに行っていなくなってしまった行為は過去のことなのでおばあちゃんは「過去の推量」という意味で「might have+過去分詞」を使っています。
※maybe
『実践ロイヤル英文法』のHelpful Hint 20 (p.83)に、maybeを「たぶん」という意味で覚えないように注意喚起しています。maybeは「~の可能性がある」という意味なので、例えば、「富士山は来年爆発する可能性がある」という意味にすぎないMaybe Mt. Fuji will erupt next year. を「富士山はたぶん来年爆発するだろう」と訳すと誤訳になります。
パズーがシータにこう言います。「さっきまで、ひょっとすると天使じゃないかって、心配してたんだ。」
I thought maybe you were an angel or something.
an angel or somethingは「天使か何か」という意味です。I thought you were an angel or something. だと「あなたが天使か何かと思った。」という意味になりますが、maybeが追加することで「あなたが天使か何かであるかもしれない。」という意味に変わっています。「たぶんあなたが天使か何かだと思った。」という意味ではないことに注意してください。
『となりのトトロ』でのセリフです。家の中に何かがいます。お父さんが「リスかい?」とサツキとメイに言います。
“Maybe squirrels live here.”
「リス」は英語でsquirrelと言います。これも「たぶんリスがここに住んでいる。」という意味と理解してはいけません。「リスがここに住んでいるかもしれない。」という意味です。
容認 「~しても差し支えない」
『実践ロイヤル英文法』にはmayの用法で「容認 ~してもさしつかえない」という意味も載せていない。
The theory of communism may be summed up in one sentence: Abolish all private property. ─Karl Marx
ここでのmayが「容認」を意味します。「共産主義理論は次の文に要約されてされることができる─すべての私有財産を廃止せよ。」
「要約されることができる」は「要約されて差し支えない」とも訳せますが、「~してもよい」という意味の「許可」との区別はあいまいです。「~してもよい」と「~かもしれない」という意味を覚えておけば、文脈で「このmayは容認を表わしている」というのはわかるので、この「容認のmay」はあまり気にしなくてよいかもしれません。
祈願
「May+主語+動詞の原形」で「どうか~でありますように」という意味の「祈願」を表わします。「あずまんが大王」のちよちゃんが「みんながそろって合格できますように」とお願いしていますが、英語では
May everyone pass this tests together.
となります。
『実践ロイヤル英文法』にはこの祈願のmayは「形式ばった言い方」と書かれていますが、祈願という行為自体が形式ばっているので、インフォーマルな日常会話でこの表現を使っても何の問題もありません。