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習慣を意味するhabit, custom, practiceの違いは何?

長い間繰り返し行うことで、そうすることが当たり前になることを「習慣」と言います。この習慣は個人で行われることも、集団でおこなわれることもあります。国や地域などの集団でおこなわれる習慣は「慣習」とも言います。英語には「習慣」を意味する英単語が複数あるのでその使い分けに注意しましょう。よく使われるのがhabitとcustomとpracticeです。そこでこの記事ではこの3つの英単語の意味の違いを詳しく見てみます。また、時に「習慣」と訳されるroutine, tradition, convention, ritual, mannersの意味も見てみます。

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目次

habit (個人の)習慣

habit「習慣」という意味で真っ先に思い浮かべる英単語です。日本語の「習慣」は「長い間それを繰り返し行うことで、あたかもそうすることがきまりのようになったこと」を意味し、個人に対しても集団に対しても用いられますが、habitはもっぱら個人が繰り返し行う行動を指します。その行動は最初は意識的にやっていたとしても、それが繰り返し行われるにつれ、無意識(lack of awareness)に自然(unintentionality)と行われるようになります。それが「習慣」でありhabitです。無意識のうちに身につけたものなので、意識的な修正もあまり行われず(uncontrollability)、「癖」というネガティブな意味合いを持つことも多いです。

You must change your habits to lead a healthy lifestyle.
健康的な生活を送るためには、習慣を変えなければなりません。

I developed a habit of eating cereal for breakfast.
朝食にシリアルを食べる習慣をつけた。

Suzu-chan has a habit of playing with her hair when she’s nervous.
すずちゃんは緊張すると髪の毛を弄る癖があります。

He couldn’t get out of the habit of saying ‘Oh my god’.
彼は「オーマイゴッド」を言う癖が抜けなかった。

custom (集団の)慣習

custom「慣習」「風習」とよく訳されますが、個人がもつ「習慣」を意味することもあるのでhabitとの違いを理解することが大切です。customには2つの意味があります。まずは地域や社会で多くの人が長い間行うことでそれを行うことが当たり前とされる慣行という意味です。例えば、日本人は挨拶をする時に頭を下げるcustomがあります。customはinstitutional habit (制度化された習慣)と言ってもかまいません。制度化されているのでcustomに従わない人には制裁(sanctions)のリスクを伴います。この意味ではcustomは「慣習」と覚えれば「習慣」という意味のhabitとの区別がしやすくなります。もっぱら集団に対して用いられる「慣習」に対して、customは次に述べるように個人に対しても用いられるので、やはりhabitとcustomの違いは訳語ではなく語感をしっかり習得しましょう。

He has a habit of biting his nails when he is nervous.
彼は緊張すると爪を噛む癖がある。
The Japanese have a custom of taking off their shoes before entering their homes.
日本には家に入る前に靴を脱ぐという習慣がある。

上の例文でわかるように、日本語の「習慣」は集団に関することでも用いることができます。ここでhabitをcustomと言い換えることはできますが、customをhabitに言い換えるのは不適当です。例えば下の例文でcustomsをhabitsと言い換えるのは望ましくないです。

Dave knows a lot about Japanese customs because he has been living in Japan for more than twenty years.
デイブさんは日本に20年以上住んでいるので、日本の習慣についてよく知っています。

ただし、集団内に同じhabitを持つ人が多数いる場面を想定すると、集団に対してもhabitという単語を使えないわけではありません。個々人が勝手にやっていることなんだけど、それを多くの人がやっているというイメージです。

Americans tend to cut wood by pushing the saw, while Japanese have a habit of pulling the saw toward themselves.
アメリカ人はノコギリを押して木を切ることが多いが、日本人はノコギリを自分の方に引き寄せる癖がある。

ここでhabitをcustomと言い換えても問題ありません。customは規範化されているのでこの慣行に従わない人には制裁の可能性を伴いますが、habitの場合は皆が勝手にやっているだけのことなので(要するに規範化されていない)、みんなと違うことをしても特に問題とされません。この違いが分かると、customは当たり前とされる行為に対して使われるのに対し、habitは当たり前でない行為、つまり良くない行為でも使われるというのが理解できます。「日本人は電話で話をしているときにお辞儀をする癖がある」の「癖」はcustomではなくてhabitです。それが望ましいとはだれも思っていないけどついしてしまう行為だからです。


As Ginsberg remarks: “Custom in fact is not merely a prevailing habit, but also a rule or norm of action. The rule is supported on the emotional side by two sets of forces. There is, firstly, a sentiment or group of emotional dispositions attaching to custom as such, and condemning its breach. Secondly, in this sentiment there is a rational element, the recognition, however vague, of the importance of order, and the necessity of knowing what to expect and what is expected in given situations.
ギンズバーグが述べるように、customは単に一般的なhabitというだけでなく、行動のルールや規範でもある。このルールは感情面では2つの力によって支えられている。まず第一に、customそれ自体に愛着をもち、その違反を非難する気持ちや一連の感情的気質がある。第二に、この感情には合理的な要素がある。それは、たとえ漠然としていても、秩序の重要性を認識し、与えられた状況で何を期待し、何が期待されるかを知る必要性である。

https://www.yourarticlelibrary.com/difference/difference-between-custom-and-habit/24291

このようにcustomは集団が行う慣行を意味しますが、個人が行う習慣に対しても用いられます。habitが個人が無意識に行う習慣なのに対し、customは個人が意識的に行う習慣を表します。

It was her custom to walk in Ohori Park with her dog every morning.
毎朝、愛犬と一緒に大濠公園を散歩するのが彼女の習慣だった。

この意味ではIt is A’s custom to doという構文がよく使われます。

It is my custom to watch YouTube videos for a time before going to bed.
寝る前にYouTubeの動画をひとしきり見るのが習慣になっています。

『魔女の宅急便』にもcustomは出てきます。

It’s one of our oldest customs that when a witch turns 13, she has to leave home for a year to begin her training.
「ええ、古いしきたりなんです。魔女になる子は13歳になったらうちを出るっていう」

英語版では「13歳になったらうちを出る」にto begin her training (トレーニングを始めるために)という説明が追加されています。

practice 慣行

何かに上達するために練習することをpracticeと言いますが、似たような意味で何かの目的のために規則的に行うこともpracticeです。practiceは「慣行」とよく訳されます。business practiceは「商慣行」、working practiceは「労働慣行」です。practiceは個人と集団の行為のどちらでも用いられます。無意識性を暗示するhabitとは異なり、practiceは目的志向性があるので意識的に行われます。そのため、habitと異なり、ネガティブな意味合いで使われません。部外者は否定的に捉えるかもしれませんが、少なくともやっている本人は良いと思っていない限り、意識的にやるわけはないからです。

It’s my practice to send out emails to people I meet at business events.
ビジネスイベントで出会った人にEメールを送る習慣がある。

個人が意識的に行うという意味ではcustomとpracticeの違いはほとんどありません。

It was her practice to walk in Yoyogi Park with her dog every morning.
毎朝、愛犬と一緒に代々木公園を散歩するのが彼女の習慣だった。

集団が行う習慣という意味では、customは無意識性を暗示するのでpracticeと言い換えることができない場合が多いです。customは誰もが当然のことと思って行う行為なので容易に変化しませんが、practiceは目的達成のためにうまくいっていないと思えば比較的簡単に変更することができます。practiceがtraditional (伝統的な)になっているのがcustomです。だからtraditional practiceという表現はできますが、traditional customとはあまり言いません。customという単語はtraditionalを含意しているからです。

It’s common practice for scientists to challenge each other’s research and interpretations of it—a process known as “peer review.”
科学者がお互いの研究や解釈に異議を唱えるのはよくある慣行で、「査読」として知られているプロセスだ。

Whaling is a cruel and unnecessary practice that must be stopped immediately. 
捕鯨は残酷で不必要な行為であり、直ちに止めなければならない。

「習慣」を意味することがある他の英単語

routine ルーティーン

「手順」、つまり「物事をする時の順序」(the order in which you do things)のことをroutineと言いますが、routineには「定期的に行うこと」(the things you regularly do)という意味もあります。これが習慣と訳されることがあります。「寝る前に歯を磨く」といった機械的に繰り返される動作がroutineです。日本語でも「ルーティン」という言葉を使うので語感はつかめやすいと思います。習慣的・機械的と言っても、無意識性を暗示するhabitやcustomとは異なり、routineはpracticeのように意識してやる行為です。だから、うまくいかなかったらroutineを変更することができます。

My morning routine consists of drinking water, showering, feeding my cat, having a nice breakfast, getting dressed, and walking to school.
私の朝の習慣は、水を飲む、シャワーを浴びる、猫に餌をやる、美味しい朝食を食べる、着替えて学校に行く、というものです。

I do not like having my study routine interrupted.
勉強の邪魔をされるのは好きではない。

It’s a part of my routine to check your tweets.
あなたのツイートをチェックするのが日課になっています。

tradition 伝統

traditionはほとんどの場合で「伝統」と訳しますが、ごくまれに「習慣」と訳することがあります。customは「地域や社会で多くの人が長い間行うことでそれを行うことが当たり前とされる慣行」と説明しましたが、traditionも同じ意味で用いられます。customとの違いはこの「長い間」が「すげー長い間」に変わる点です。traditionは「届ける」という意味のラテン語が語源です。「customを次の世代に届ける」という意味合いを持つのがtraditionであり、何世代にも渡って続いたcustomがtraditionになります。だからcustomは長く続いているものもあれば始まったばかりのもありますが、traditionは常に長い間続いたものでないといけません。ただしこの「長い間」というのはあくまでも主観的な判断であり、一世代の事でもtraditionがよく使われます。また、traditionはhabitとcustomと同じように無意識性を強調します。つまりtraditionはやって当たり前のことであり、「これがいいもの」と判断したからやるものではありません。habitやcustomとは異なり、traditionは個人に関しては用いられませんが、グループであれば家族などの小規模でも使われます。いわゆるfamily traditionです。

Eating KFC chicken is a Christmas tradition in Japan.
日本ではケンタッキーフライドチキンを食べるのがクリスマスの風物詩になっています。

It is our family’s tradition to decorate for Christmas in early December.
12月初旬にクリスマスの飾り付けをするのが我が家の伝統です。

convention 慣習

conventionは「社会の多くの人が正常で正しいと信じている行動や態度」を意味します。「慣習」「しきたり」と訳されることが多いですが、個人の習慣については用いられないのでhabitと言い換えることはできません。customと非常に語感が似ていますが、customは無意識に行う当たり前の行為なのに対し、conventionは自発的に約束事に従うというニュアンスがあります。例えば、車は左側を走らないといけないというルールに従うことはcustomではなくconventionです。無意識に従うわけではないということは、嫌々ながらルールに従う場合もあるというわけであり、そのためネガティブな意味合いで使われることがあり、「因習」と訳されることがあります。customの方が価値中立的です。

It is a matter of convention that female school girls usually wear skirts.
女子学生がスカートを履くのは当たり前のことだ。

I was determined to flout convention when it came to the school rules.
私は、校則に関しては常識にとらわれないようにしていました。

Suzu and I defied the conventions of the time by living together without being married.
すずと私は当時の慣習に逆らい、結婚しないで同棲した。

ritual 儀式

宗教的な儀式をritualと言いますが、儀式のように決まっておこなう行為という意味でただの習慣的行為についてもritualが用いられることがあります。この意味ではroutineと同義語と考えて構いません。

Reading the Asahi Shimbun is part of my morning ritual.
朝日新聞を読むことは、私の朝の習慣のひとつです。

For Homer Simpson, going to church every Sunday is only an empty ritual.
ホーマー・シンプソンにとって、毎週日曜日に教会に行くことは形だけの習慣にすぎなかった。

manners 風習

mannerは「やり方、仕方(the way in which something is done)」や「態度、話し方(the way in which someone behaves toward or talks to other people)」を意味しますが、

You should explain why this incident occurred in an objective manner.
なぜこのような事件が起きたのか、客観的な方法で説明してください。
His manner was formal, though friendly.
彼の態度は愛想はよかったが、形式張っていた。

複数形のmannersだと「行儀、作法、マナー(polite ways of behaving in social situations)」に加え、「風習、慣習(the customs of a particular group of people)」という意味になります。

It’s bad manners to eat with your mouth open. 
口を開けて食べるのは行儀が悪い。
Bizarre Victorian manners are a fascinating study for most people.
ビクトリア時代の奇抜な風習は、ほとんどの人にとって魅力的な研究対象です。

後者の意味で「習慣」と訳されることがありますが、複数形のmannersは日本語の意味での「マナー」を意味することがほとんどなので、「風習、慣習」という意味になることもあると頭に入れておく程度でよいでしょう。

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